【作成日:2023/09/30】
デフツインズです。
我が家の難聴双子(+妻)は聾学校幼稚部に通っています。
2学期が始まり1か月が経とうかというところですが、
聾学校からロジャーを使い始めたいというお話をいただきました。
そもそも人工内耳でロジャーってどう使うの?
聾学校の先生も人工内耳の子が多いわけではないので、はっきりわからず・・
出典:ONE PEACE、Phonak
- 人工内耳ってロジャー受信機いるの?
- 補装具の助成はロジャーは対象じゃないけど、自治体によっては特例補装具で通るところもあるみたい
- 医師の診断書はいるだろうけど、聴力検査の結果っているの?
などなど、あいまい情報は出回っているのですが、はっきりさせるにはいろんな人に話を聞く必要がありました。
なので、聞いてきました!!
- 聾学校の先生
- 聾学校の先輩ママ(人工内耳のお子様)
- 役所職員
- 病院ST
- 担当医
だれかまとめておいてよ・・あ、まとめよってことでブログ更新w
●結論:
- ロジャーネックループが聾学校から1人1台貸し出されるので、ロジャー受信機を個人で買う必要はない(うちの聾学校の場合)
- ループを使うには、病院STさんに以下の設定をしてもらう必要がある
- MT設定
- テレコイル設定の有効化
ロジャー ネックループはこんなやつ
出典:Phonak
※以降は、以下用語を使います
・ロジャーネックループ:ループ
・ロジャー受信機:受信機
・ロジャー送信機:送信機
ロジャーってなに?
ロジャー(Roger)は、「デジタルワイヤレス補聴援助システム」のことです。
はい、長い言葉ですね・・覚えられません。
簡単に言うと補聴器や人工内耳だけでは聞き取りの難しい場所で、聞こえをサポートしてくれる機械です。
周りが騒がしいところで、しゃべっている人の声をメインに拾ってくれます。
ロジャーは、「音を送る送信機」と「音を受け取る受信機」があります。
補聴器であれば、受信機を使うことなく、送信機から補聴器へ直接音を送ることができるものもあります(※ロジャーダイレクト機能)
人工内耳は、受信機を使用して送信機からの音を受信する必要があります。
例えばコクレア社の人工内耳、Nucleus7(N7)サウンドプロセッサであれば、専用の一体型ロジャー受信機「ロジャー20」を購入し、人工内耳に取り付ける必要があります。
送信機、受信機ともに様々な種類があり、自由に組み合わせられます。
【ロジャー送信機】
我が家はN7を使っているのでロジャー20
出典:Phonak
ロジャー20の価格は1台
113,190円(税込)
双子両耳なのでx4で452,760円(税込)
送信機1つ家に買うとしたら合計593,560(税込)
ハハッ・・・( ^ω^)・・・
人工内耳に直接声を送るってどんな感じだろう。子供の反応見てみたいなって方は、電波方式は違うものの、スマホから人工内耳に直接音を送ることができますので、試してみてください。
以下の記事でやり方をまとめています。
子供が振り向いて笑ったっとか、反響をいただいた人気のある記事です。
ロジャーの助成申請(特例補装具)
ロジャーは未だ補装具として認可されていません・・・
そのため、障害者総合支援法で補装具としての助成申請はできません
・・・衝撃・・・60万自腹・・・??
ただし、自治体によっては特例補装具として認められる場合があります。
・・・自治体によります・・・自治体にお問い合わせください・・・
あるあるですねー。一番嫌なやつですねー。統一してほしいですねー。
でネットでは情報が出てこないっと・・
私が住んでいるところですが、申請に必要な情報は似ていると思いますので、
自治体に確認した内容を載せておきますね。
※くれぐれも、お住まいの自治体に確認してください(笑)
●デジタルワイヤレス補聴援助システム(ロジャー)を特例補装具として申請することは可能
●助成金額の上限は決まっていない。 自己負担額は1割
- 送信機だけなら452,760円(税込)→45,276円(税込)
- 受信機も買うなら593,560(税込)→59,356円(税込)
高いですが、それでも助かりますね・・
「受信機と送信機は一緒に買わないといけない」という噂がありましたが、聾学校から送信機の貸し出しがあることを伝えたところ、受信機の申請のみでも大丈夫と回答もらいました。
学校名を聞かれて、なにやら調べたあとに大丈夫と言われました・・何を調べたのか・・
●必要な書類は4つ
- 申請書
- 診断書
- 意見書
- 見積書
【申請書】
自治体フォーマットがありますので、役所で入手してください。
【診断書】
自治体フォーマットがありますので、役所で入手してください。
医師に記載してもらう必要があります。聴力検査の結果もつける必要があります(人工内耳装用状態で可)。
X(旧Twitter)でいただいたコメントですが、申請を通すために医師に以下のような内容を一筆書いてもらった方がよいようです。
- 療育を効果的に受けるために必要
- ロジャーがない時とある時の明瞭度の差や言葉の理解を得るため、学習に必要なもの
- 未就学児でも必要という事をしっかり書く
【意見書】
自治体フォーマットがありますので、役所で入手してください。
両親が記載します。以下の内容を盛り込む必要があります。
- ロジャーが必要な理由。診断書に書いてもらう内容とかぶりそうですね
- 他の受信機も検討して、購入予定の受信機でなければいけない理由
- ロジャーを試用して、利用(装用)できたか、ロジャー利用による効果があったかの結果
必要な試用期間は決まっていないそうですが、申請するにもハードルがありますね。
ロジャーは試用レンタルできるようなので、購入予定のメーカーサイトで確認してみてください。
【見積書】
購入予定機器の見積もりをメーカーから入手してください。
人工内耳だけど、ロジャーって必要なの?・・STさん次第
人工内耳では、ロジャー必要派と不要派がいるようです。
【不要派】
「人工内耳のマッピングが安定するとロジャーを使った聴こえと変わらないからロジャーは不要」
聾学校の先輩ママ(人工内耳のお子様)の通われている病院STさんはこの考えで、この子はロジャーを使っていませんでした。他にも聾学校でロジャーを使わない人工内耳の子達は何人かいます。
人工内耳の場合は周辺の音と声を一緒に聞いて聞き分ける(必要な音を自分で取りに行く)練習をまずすることになっているので、幼少期は不要っていう考えもあるようです。
【必要派】
「賑やかな場所だったり、聴く姿勢がまだ出来ていない子の場合は直接音が届くので効果がある」
我が家が通っている病院STさんの考えはこちらで、ロジャー利用にあたり、他のSTさんにも聞いてくれるなど情報収集をしてくれました。
いくら機械が良くて30dbの音が検査で聞こえていても、まだ小さい時は椅子にも座っていられないし、集中して先生の話を聞くことも難しい
聾学校で1日中ロジャーをつけてるわけでもないので、周辺の音を聞くときと、しっかり話を聞くべきときを聾学校の先生に見分けてもらって上手にロジャーを使った方がよい。
これが我が家の考えです。
病院のSTさんによって考え方が違うので、信頼できる人(STさんでも聾学校の先生でもママ友でも)と相談して使うかどうか、どんな時に使うのかを試していくといいかもしれませんね。
他には、聾学校が使っている送信機によるという人もいるようです。
- ロジャータッチスクリーンマイクなら必要
- ロジャーデジマスター(線音源スピーカ)なら明瞭度の差に変わりがないので不要
病院STさんが不要派だと、申請もより苦労しますね・・
ロジャー送信機で拾った音を人工内耳に送るのに、ロジャー受信機は必要か?
調べていく中でわかったことですが、ロジャーネックループがあれば、人工内耳に音を飛ばせるので、個人でロジャー20は買う必要がないことがわかりました。
我が家が通っている聾学校ではロジャータッチスクリーンをメインで使用するのですが、その場合の受信手段は2つ。
ロジャータッチスクリーン
出典:Phonak
- ロジャー20(一体型ロジャー受信機)を使う
- ロジャーネックループ(首掛けタイプ)を使う
- 個人で購入する必要がある
- 助成を受けられるかは自治体次第
- 病院STに以下の設定をしてもらう必要がある
- MT設定
出典:Phonak
【ロジャーネックループ(首掛けタイプ)を使う】
- 聾学校から1人1台貸し出しあり(うちの聾学校の場合)
- 病院STに以下の設定をしてもらう必要がある
- MT設定
- テレコイル設定の有効化
ロジャーネックループ
出典:Phonak
我が家は、ロジャーネックループを使わせてもらうことにしました!
聾学校から貸し出しって、目の前に答えがあったのに、結論にたどり着くまでにかなり遠回りしてしまいました(^^;)
しかも病院STさんが、他のSTさんに情報収集してくれて初めてわかるという・・
そのくらい一般化してない情報ってことなんですね。
聾学校の先生にも把握しておいてもらいたかったですが、今後使う聾学校の後輩達がスムーズにここに辿りつけるようになったと思えば、まぁよいか!
補足ですが、
首に掛けることが慣れていないから、子供がループを外しちゃうとかなるなら、一体型ロジャー受信機を検討するもありです。
ロジャー20の実物を見たことがないので、重さ的な耳への負担はわからないですが。
ロジャー20が高すぎる!!という場合はコクレアの場合「ワイヤレスミニマイクロホン2プラス」を使うという手段もあります。
cochlear ワイヤレスミニマイクロホン2プラス
出典:cochlear
cochlear ワイヤレス ミニ マイクロホン 2 プラスの価格は1台
36,300円(税込)。
特例補装具の助成申請(1割負担)が通れば
3,630円(税込)ですね。
しゃべる人に渡して使ってもらう形になります。
ロジャーネックループを使う。テレコイル設定のON/OFF方法
最後にロジャーネックループの受信方法を記載します。
ループを使うには、病院STさんに以下の設定を人工内耳にしてもらう必要があります。
- MT設定
- テレコイル設定の有効化
テレコイル設定の有効化後、ループ使用時には人工内耳側でON/OFFの操作が必要になります。
ON/OFF方法は、3つの手段があります
- スマホアプリから操作
- 人工内耳のボタン操作
- コクレアのリモートコントロール(付属品)で操作
【スマホアプリから操作】
Nucleus Smartアプリを使います
オーディオ機器設定が操作できるようになっているはずです
テレコイル設定がオフになっているので、「テレコイル」を押下します
テレコイル設定がONになりました。人工内耳のランプが青色に変わったはずです
設定を閉じると上記表示になります
【人工内耳のボタン操作】
人工内耳のコントロールボタンを使って操作します。
コントロールボタンを2秒間長押ししてから放すと、テレコイルがONになります。
人工内耳のランプが青色に変わったはずです。
※5秒間長押ししてから放すと人工内耳の電源が切れてしまうので、注意!
OFFにしたいときはコントロールボタンを短く押してください。
人工内耳のランプが緑色に戻るはずです
出典:cochlear
参考:Nucleus7 サウンドプロセッサ取扱説明書
【コクレアのリモートコントロール(付属品)で操作】
付属品にあるコクレアのリモートコントロールを使用します
出典:cochlear
操作は簡単です。
真ん中にある横長のボタンを押すだけです。
出典:cochlear
参考:CR310 リモートコントロール取扱説明書
事前にリモートコントロールと人工内耳のペアリングが必要ですが、上記取扱説明書のP8 ペア設定を見れば簡単にできます。
※ペアリングは、電源をオンにして、送信コイルをリモートコントロールの裏側に当てるだけです。
親が聾学校に付き添いしている期間は、スマホアプリからの操作で対応できますが、
付き添い期間が終わったあとは、対応できないので聾学校の先生にやってもらう必要があります。
人工内耳のボタン長押しも試しましたが、電源オフとの塩梅が難しくうまくできないことが多々ありました・・
コクレアのミニマイクであれば、ボタン1つで操作でき、聾学校の先生も預かって操作してくれるようなので、我が家はミニマイクを使うことに決めました。
ミニマイクは両耳を1台で操作可能です。我が家は双子なので2台使用ですがw
ロジャーを使うか、どう使うかはご家庭の判断になりますが、調査時の参考になれば幸いです。